音楽音符一覧は9種類+休符9種で足りる|全音符を半分に割り続ける仕組みを一枚で整理

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楽譜を開くと、黒い丸に棒が付いたもの、旗が付いたもの、横棒だけの記号、アルファベットの略語が一気に目に入ってきます。「この記号の名前は何で、どれくらいの長さなのか」を一枚で確認したくて音符の一覧を探している人は多いはずです。ところが検索して出てくる表は、音符だけ、休符だけ、記号だけとバラバラに分かれていて、結局どれとどれが対応するのかが見えてきません。

先に結論を書きます。楽譜に出てくる音符は二全音符から百二十八分音符までの9種類で、それぞれに同じ長さの休符が1つずつ用意されています。そして9種類の名前は、全音符という基準を2つに割り、さらに2つに割り……と繰り返した結果に付いた番号にすぎません。つまり覚えるべきは18個の記号ではなく、「半分に割る」という規則が1つだけです。

この記事では、その9種類の一覧を対応する休符と並べて示したうえで、音符が乗る土台である五線と音部記号、長さを区切る拍子記号と小節線、高さを動かす変化記号と調号、そして強弱・速度・装飾・反復の記号までを順に整理します。数値と定義はすべて洗足学園音楽大学が公開する楽典解説(Senzoku Online School of Music)を出典としています。

💡 この記事でわかること

・音符9種類と休符9種類の名前・長さ・対応関係が1つの表でわかる
・「二分」「四分」という名前が何を表しているのかが理屈で理解できる
・五線・音部記号・拍子記号・調号という、音符を読むための土台の役割がわかる
・強弱/速度/装飾/反復の記号が、どのグループに属する何の指示なのかを分類して読めるようになる

目次

音楽音符一覧は9種類|全音符を半分に割り続けるだけの仕組み

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「二分」「四分」という名前は、長さそのものを表している

音符の名前で迷う原因は、名前を記号の呼び名だと思ってしまうことにあります。実際には、名前がそのまま長さの説明になっています。洗足学園音楽大学の楽典解説は「全音符を2つに分けた長さを二分音符、全音符を4つに分けた長さを四分音符、全音符を8つに分けた長さを八分音符というように名前が付いています」と説明しています。基準は全音符で、その何分の1かという分母が、そのまま名前になっているわけです。

この関係は足し算でも成立します。同じ解説には「全音符=二分音符+二分音符、二分音符=四分音符+四分音符、四分音符=八分音符+八分音符です」とあります。つまり隣り合う2種類は必ず2倍と半分の関係にあり、9種類すべてが2のべき乗の階段で並んでいます。英語圏で四分音符をquarter note(4分の1の音符)と呼ぶのも同じ発想です。

独学でつまずきやすいのは、「四分音符=1拍」と暗記してしまうことです。1拍として数える音符は拍子記号の分母が決めるもので、4分の4拍子なら四分音符が1拍、8分の6拍子なら八分音符が1拍の単位になります。名前が示しているのは全音符との比率であって、拍数は拍子とセットで決まる、と分けて理解しておくと後の章で混乱しません。

二全音符から百二十八分音符まで、9種類を一覧で確認する

ここでは、洗足学園音楽大学の楽典解説に示された音価をもとに、音符と対応する休符を1つの表にまとめ直しました。長さの欄は、四分音符を1拍と数える拍子(4分の4拍子など)での拍数です。9種類が上から下へきれいに半分ずつになっていること、そして音符と休符が必ずペアになっていることを確認してください。

📊 音符・休符9種類の対応一覧(ピアノと音楽の教科書調べ/出典:洗足学園音楽大学 楽典解説)
音符の名前 全音符との関係 長さ(四分音符=1拍のとき) 対応する休符
二全音符 全音符の2倍 8拍 二全休符
全音符 基準 4拍 全休符
二分音符 全音符の1/2 2拍 二分休符
四分音符 全音符の1/4 1拍 四分休符
八分音符 全音符の1/8 1/2拍 八分休符
十六分音符 全音符の1/16 1/4拍 十六分休符
三十二分音符 全音符の1/32 1/8拍 三十二分休符
六十四分音符 全音符の1/64 1/16拍 六十四分休符
百二十八分音符 全音符の1/128 1/32拍 百二十八分休符

初級から中級の曲で実際に登場するのは、上から2番目の全音符から6番目の十六分音符あたりまでです。三十二分音符より細かい音符は、装飾的な速いパッセージやカデンツァ風の箇所で出てきます。一覧の下半分は「名前の付け方が同じ規則で続いている」ことを確認するためのもので、丸暗記の対象ではありません。

この9種類の並びをもっと詳しく知りたい場合は、音符の種類だけを取り上げた記事も参考にしてください。

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符頭・符幹・符尾|形のどこを見れば長さがわかるのか

音符は3つの部品でできています。丸い部分が符頭(たま)、そこから伸びる縦棒が符幹(ぼう)、符幹の先に付く旗が符尾・符鈎(はた)です。長さの判定は、この3つを上から順に見るだけで終わります。符頭が白抜きか黒塗りか、符幹があるかないか、符尾が何本あるか。この3点だけで9種類が一意に決まります。

仕組みとしては、まず符頭が白抜きで符幹がなければ全音符、白抜きで符幹があれば二分音符です。符頭が黒く塗られていて符尾がなければ四分音符、符尾が1本なら八分音符、2本なら十六分音符、3本なら三十二分音符と、旗が1本増えるごとに長さが半分になります。速いパッセージで符尾が横線(連桁)でつながっている場合も、線の本数の意味は同じです。

譜読みで時間がかかる人は、音符を1つずつ「これは何分音符か」と言語化して確認していることが多いものです。判定の順番を「符頭の色 → 符幹の有無 → 旗の本数」と固定してしまうと、視線の動きが一定になり、判断が速くなります。細かい音符が連桁でつながっている箇所では、旗の本数ではなく横線の本数を数える練習を別にしておくと詰まりにくくなります。

📖 用語チェック

符頭(ふとう/たま)=音符の丸い部分。五線のどの位置にあるかで「音の高さ」を表す。
符幹(ふかん/ぼう)=符頭から伸びる縦棒。符頭より上に伸びるか下に伸びるかは高さや声部で決まるが、長さの意味は変わらない。
符尾・符鈎(ふび・ふこう/はた)=符幹の先に付く旗。1本増えるごとに長さが半分になる。

連符は「1段階短い音符」で書くという決まりがある

3連符(トリプレット)でつまずく人の多くは、「3つに割るのになぜ八分音符で書くのか」で引っかかっています。答えははっきりしていて、音符をN個に分けるときは、通常の分割より1段階短い音価の音符を使うという決まりがあるからです。洗足学園音楽大学の解説では「4分音符を3分割 → 8分音符を使用」と明記されています。

同じ原則で、「4分音符を5~7分割 → 16分音符を使用」「4分音符を9~15分割 → 32分音符を使用」と続きます。5連符も7連符も十六分音符で書かれ、9連符から15連符までは三十二分音符で書かれます。見た目の音符の種類は本来の長さを示していないので、数字(3、5、7など)と囲みの範囲をセットで読む必要があります。

実際の演奏で問題になるのは、3連符と、付点のリズムが同じ小節に混在する場面です。3連符は1拍をきれいに3等分するリズムなので、拍の中を2等分するリズムとは着地点が異なります。片方に引きずられて崩れる場合は、テンポを落として1拍の中の分割だけを声に出して数え、分割数が切り替わる瞬間を確認してから両手を合わせると整いやすくなります。なお、音符の右に点を打って長さを足す付点も、音符の種類そのものとは別系統の記号です。

休符が読めないと、音符が読めていても曲は崩れる

休符9種類は音符と1対1で対応している

休符は「音の出ないことを表す」記号で、音符と同じ9種類が用意されています。二全休符・全休符・二分休符・四分休符・八分休符・十六分休符・三十二分休符・六十四分休符・百二十八分休符と、名前も音符とそろっています。長さも同じで、四分音符と四分休符はどちらも1拍、八分音符と八分休符はどちらも1/2拍です。

つまり、前章の表の右端の列をそのまま覚えれば、休符の学習はほぼ終わります。新しく覚えるのは記号の形だけで、名前と長さの体系は音符と共通です。「音符18種類+休符18種類」のように別物として数えると負担が大きく感じますが、実際は9段の階段が2列あるだけです。

気をつけたいのは、休符を「休憩」として扱ってしまうことです。休符は長さを持った記号であり、小節の中で拍を占有します。4分の4拍子の小節は、音符と休符の長さの合計が必ず4拍になります。譜読みで小節の拍数が合わないときは、見落としている休符がないか、あるいは休符の長さを1段階取り違えていないかを疑うのが近道です。

💡 押さえておきたいポイント

休符は「弾かない時間」ではなく「音を出さないことを指示された長さ」です。四分休符は四分音符と同じ1拍を占めます。小節の拍数が合わないときは、音符ではなく休符の読み落としを先に疑ってください。

形が近い休符ほど取り違えやすい

休符の中でも混同が起きやすいのが、長さが2倍違うのに記号の形が近いものどうしです。全休符と二分休符はどちらも短い横棒で書かれ、五線のどこに書かれているかで区別する決まりになっています。この2つを取り違えると、小節ごと長さが半分または2倍になってしまい、他のパートや伴奏と合わなくなります。

見分けに自信がないときは、記号の形を思い出そうとするより、小節の拍数から逆算するほうが確実です。4分の4拍子の小節に他の音符がなく、その休符だけが置かれているなら、必要な長さは4拍です。同じ小節に二分音符が1つ入っているなら、残りは2拍分しかありません。拍数の帳尻が合う長さは1つしかないので、迷ったら足し算で確定させます。

八分休符と十六分休符のように、旗の本数で区別する休符も同じ考え方で判定できます。休符の旗の本数は、対応する音符の符尾の本数と同じ数です。八分音符の旗が1本なら八分休符も1本、十六分音符が2本なら十六分休符も2本です。音符の判定ルールがそのまま流用できると知っておくと、新しく暗記する項目が減ります。

独学でよくある失敗|休符を数えずに飛ばしてしまう

独学で譜読みをしている人によく起きる失敗の1つが、休符で拍を数えるのをやめてしまうことです。音のあるところだけを追っていると、休符の箇所で拍のカウントが途切れ、次の音に入るタイミングが早くなります。録音して聴き返すと、休符が短く詰まっていて、フレーズの切れ目が慌ただしく聞こえるのが典型的な症状です。

原因は集中力ではなく、カウントの方法にあります。音を出している間だけ数えていると、音が消えた瞬間に基準が消えてしまうからです。対策は、休符の小節でも拍を声に出して数え続けること、そして休符の長さぶんだけ指を鍵盤から離しておくことを別々に練習することです。片手ずつ、テンポを落として、休符のところで「2、3、4」と言いながら手を止めます。

もう1つ有効なのが、休符に鉛筆で拍数を書き込む方法です。楽譜に「2」「1」と数字を入れておくと、視線が休符で止まり、飛ばし読みが起きにくくなります。ある程度弾けるようになったら書き込みを消して、数えなくても正しい長さで止まれるかを確認すると、身についたかどうかが判定できます。

五線と音部記号|同じ形の音符でも高さが変わる理由

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五線は5本の線と、その間の「間」でできている

音符の符頭が置かれる土台が五線です。洗足学園音楽大学の解説によれば「五線の各線は、図のように第1線から第5線の名称がつけられています。また、線と線の間には『間(かん)』という名称が付けられています」となっており、下から順に第1線、第2線……と数えます。間も同じく下から第1間、第2間と数えます。

この「線と間が交互に並ぶ」構造が、譜読みの速度を決めています。音が1つ隣に動くとき、符頭は線から間へ、間から線へと移ります。逆に、線から線へ、間から間へ飛ぶときは、必ず1つ音を飛び越えた動き(3度)です。符頭の位置そのものを毎回読まなくても、直前の音から線・間のどちらへ動いたかを見るだけで音の距離がわかります。

五線に収まらない高さの音は、加線という短い線を足して表します。加線が3本、4本と増えると読みにくくなりますが、ここでも数える起点を決めておくと処理が速くなります。五線の上下に出た音は1つずつ数えるのではなく、「五線の外に出た最初の音」を基準の音として覚えておき、そこからの距離で読むと、加線が増えても判断がぶれません。

ト音記号は第2線、ヘ音記号は第4線を基準にしている

同じ第3線の位置に符頭があっても、曲によって音の高さが違うのは、先頭に置かれた音部記号が基準を変えているからです。音部記号には、ト音記号(トレブル・クレフ)、ヘ音記号(バス・クレフ)、ハ音記号(C clef)の3種類があります。ト音記号は高音域の記譜に使われ、五線の第2線を基準に配置されます。ヘ音記号は低音域の記譜に使われ、第4線を基準に配置されます。

この「基準の線」が記号の名前の由来です。ト音記号の渦の中心は第2線を巻いており、その線がト音であることを示しています。ヘ音記号の点2つは第4線を挟むように置かれ、その線がヘ音であることを示しています。記号の飾りではなく、どの線を指差しているかを示す矢印だと考えると、位置の意味がはっきりします。

ピアノの楽譜は上段がト音記号、下段がヘ音記号の大譜表で書かれるのが基本です。右手の音域を上段、左手の音域を下段に割り当てることで、加線を増やさずに88鍵の広い範囲を1枚に収められます。ただし低音を右手で弾く曲などでは上下段の記号が途中で入れ替わることがあり、記号が変わった時点から読み方も切り替える必要があります。

ヘ音記号側が苦手で左手の譜読みが止まるという場合は、基準の位置から整理し直すと早く抜けられます。

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ハ音記号は中音域のための3つめの選択肢

ピアノの楽譜ではほとんど見かけませんが、音部記号には3つめのハ音記号(アルト・クレフ)があります。中音域の記譜に使われる記号で、ヴィオラの楽譜や、チェロ・ファゴット・トロンボーンなどの高めの音域を書くときに用いられます。合奏用のスコアを読む段階になると必ず出てくるので、存在だけは知っておくと役立ちます。

ハ音記号が存在する理由は、加線を減らすためです。ヴィオラの音域をト音記号で書くと五線の下に加線が並び、ヘ音記号で書くと上に加線が並びます。中音域を五線の中央付近に収められる記号を用意することで、どちらの加線も減らせます。音部記号は音の高さを変える魔物ではなく、書きやすさと読みやすさのために基準線を選び直す仕掛けだと理解すると腑に落ちます。

📋 音部記号3種のプロフィール
ト音記号(トレブル・クレフ) 高音域の記譜に使用。五線の第2線を基準に配置。ピアノでは主に上段(右手側)
ヘ音記号(バス・クレフ) 低音域の記譜に使用。五線の第4線を基準に配置。ピアノでは主に下段(左手側)
ハ音記号(C clef) 中音域の記譜に使用。ヴィオラなどの譜面やスコアで登場する
共通の役割 五線のどの線を基準の音にするかを宣言し、同じ位置の符頭が示す高さを決める

小節線と拍子記号|長さを区切って数えやすくする記号

拍・小節・拍子は3段重ねの関係になっている

音符の長さは、拍という単位の上に乗って初めて意味を持ちます。拍とは、一定の運動を続けると感じられるリズムの基本単位のことです。その拍が一定の周期でまとまったものが小節で、節(せつ)と呼ばれることもあります。そして、拍が周期的にまとまって小節を形成し、その周期性が拍子である、というのが洗足学園音楽大学の解説の整理です。

順番としては、拍 → 小節 → 拍子の3段重ねです。曲を聴いたときに感じる規則的な脈が拍、その脈をいくつごとに区切るかが小節、区切り方のパターンの名前が拍子にあたります。楽譜の先頭に置かれる拍子記号は、この区切り方を数字2つで宣言しているだけです。

この順番を押さえておくと、「テンポを上げると崩れる」現象の原因も見えてきます。崩れる人の多くは拍ではなく音符を追っており、音符の数が増えた瞬間に基準を失います。まず拍を身体で保ち、その中に音符を配分するという順番で練習すると、速い箇所でも枠が壊れにくくなります。

単純拍子と複合拍子は「1拍を何分割するか」で分かれる

拍子には大きく分けて単純拍子と複合拍子があります。単純拍子は一般に2/4、3/4、4/4拍子が該当し、4/4拍子は2つの2/4拍子がつながったものと考えられます。一方の複合拍子は、単純な2拍子・3拍子・4拍子の各拍を3等分に分けた拍子です。6/xは2拍を3分割、9/xは3拍を3分割、12/xは4拍を3分割したものにあたります。

ここが独学で最もつまずく箇所です。8分の6拍子を「8分音符を6つ数える拍子」と読んでしまうと、曲が細かく刻まれて前に進まなくなります。複合拍子の定義どおり、6/8は2拍を3分割したものなので、感じるべき大きな拍は2つです。付点のリズムに乗る舟歌やジグ系の曲が軽やかに聞こえるのは、この2拍のまとまりがあるからです。

3/4拍子と6/8拍子が混同されやすいのも同じ理由です。どちらも8分音符6つ分の長さですが、3/4は2分割された拍が3つ、6/8は3分割された拍が2つで、強く感じる位置が違います。楽譜の見た目ではなく、どこに大きなまとまりの頭が来るかで区別してください。

⚠️ つまずきやすいポイント

6/8拍子を6つ数えると、曲が前に進まず走りやすくなります。複合拍子は「各拍を3等分した拍子」なので、6/8は2拍、9/8は3拍、12/8は4拍として大きく感じるのが定義どおりの読み方です。数える単位を変えるだけで、テンポが安定することがあります。

変則拍子は、単純拍子の組み合わせとして読む

単純拍子にも複合拍子にも当てはまらないのが変則拍子(変拍子)です。不規則な拍子の総称で、2つ以上の単純拍子を組み合わせた混合拍子と、それ以外の特殊拍子に分けられます。5拍子や7拍子の曲が難しく感じられるのは、拍の数が多いからではなく、まとまりの区切り方が曲ごとに違うからです。

対処法は、数字を等分に数えようとしないことです。5拍子なら2+3か3+2のどちらかにまとまっていることが多く、7拍子なら2+2+3のような組み合わせになります。作曲者が意図した区切りは、和音の変わり目やアクセント記号、伴奏形の切れ目に現れます。楽譜に縦線を鉛筆で書き足してまとまりを可視化すると、身体が入りやすくなります。

小節線・複縦線・終止線は、曲の段落記号

小節を区切る縦線にも種類があり、役割が違います。通常の小節線は小節の区分けに用いる縦線です。細い線が2本並んだ複縦線は、曲の段落、速度の変化、拍子・調号の変化、コーダやセーニョの記号、終止を示すフェルマータの場合に用いられます。そして曲の終わりを示すときに用いられるのが終止線です。

この違いを知っていると、初見で曲の構造が把握しやすくなります。複縦線は「ここで何かが切り替わる」という合図なので、その前後を見れば拍子記号や調号が変わっていないかをすぐ確認できます。譜読みを始める前に複縦線の位置だけを追って印を付けておくと、曲が何段落でできているかが数分でわかります。

逆に、複縦線を通常の小節線と同じに扱っていると、調号の変更を見落としたまま弾き続けることになります。途中で音が合わない、和音が濁るという症状が出たときは、直前の複縦線まで戻って調号と拍子を確認するのが定石です。

変化記号と調号|音の高さを半音単位で動かす記号

シャープ・フラット・ダブル・ナチュラルの5種類

五線と音部記号で決まった高さを、半音単位で動かすのが変化記号です。洗足学園音楽大学の解説によれば、半音高められるとdiesis(ディエージス=シャープ)を付け、フラットで半音低められるとbemolle(ベモッレ)を付けます。さらに2半音高められる場合はdoppio diesis(ドッピオ ディエージス=ダブルシャープ)、2半音低められる場合はdoppio bemolle(ドッピオ ベモッレ=ダブルフラット)を使います。

5つめがナチュラルで、シャープやフラットをキャンセルして元の音に戻す記号です。これら変化記号は、幹音(五線がそのまま表す音)に対する派生音を表記するために使われます。言い換えると、変化記号が付いた音は「もとの音から何半音ずらすか」の指示付きの音であり、記号そのものが特定の鍵盤を指しているわけではありません。

ここを誤解すると、ダブルシャープやE♯のような表記で手が止まります。E♯は「Eから半音高い音」なので、結果として鍵盤上は白鍵になります。表記が示すのは、その調の中でその音がどういう役割を持っているかであって、鍵盤の色ではありません。異名同音の関係を整理しておくと、こうした表記に出会っても止まらなくなります。

調号は最大7つ|並ぶ順番が決まっている

調号は音部記号の直後に置かれ、曲全体で使用するシャープまたはフラットを示す記号です。最大7つのシャープまたは7つのフラットが使われ、合計30の異なる調があります。重要なのは、調号に並ぶ記号の順番が固定されていることです。シャープは「ファ ド ソ レ ラ ミ シ」の順で増え、フラットは「シ ミ ラ レ ソ ド ファ」の順で増えます。

順番が決まっているということは、記号の数を数えるだけで、どの音に付いているかが自動的に決まるということです。シャープが3つなら、ファ・ド・ソの3つに付いています。フラットが2つなら、シ・ミの2つです。1つずつ位置を確認しなくても、数を見た時点で対象の音が確定します。

調名の側も語呂合わせで覚えられます。シャープ系は「トニイホロヘ」、フラット系は「ヘロホイニト」の順で長調の主音が並びます。シャープ系は記号が1つ増えるごとに、フラット系も1つ増えるごとに、この並びを順に進んでいきます。調号を見た瞬間に調名が出てくるようになると、譜読みの段階で使う音の集合がわかるので、臨時記号の見落としも減ります。

🎼 調号を読み取る手順
Step1:音部記号の直後に並ぶ記号が、シャープかフラットかを見る
↓
Step2:記号の数を数える。シャープなら「ファ ド ソ レ ラ ミ シ」、フラットなら「シ ミ ラ レ ソ ド ファ」の順で、その数だけ対象の音が確定する
↓
Step3:シャープ系は「トニイホロヘ」、フラット系は「ヘロホイニト」の並びで調名を確認し、曲全体で変える音を頭に入れてから譜読みに入る

独学でよくある失敗|臨時記号の効力を取り違える

変化記号まわりで起きる失敗の代表が、調号と臨時記号の効き方を混同することです。調号は曲全体のキーを示すもので、臨時記号と異なり、小節を超えて効果が続きます。一方、曲の途中で音符の左に書かれる臨時記号は、その小節の中だけで効きます。この違いを押さえていないと、同じ音を弾いているつもりで半音ずれた音を鳴らし続けることになります。

起きやすいのは2つの場面です。1つは、小節の頭で臨時記号が切れたことに気づかず、前の小節と同じ音を弾いてしまうケース。もう1つは、調号で付いているはずのシャープを、臨時記号が付いていないからと外してしまうケースです。どちらも和音が濁って聞こえますが、原因が読み方にあるため、指の練習をいくら重ねても直りません。

対策は、譜読みの最初に調号で変わる音を紙に書き出し、臨時記号が出てきた小節には鉛筆で囲みを入れることです。囲みの右端が小節線と一致していることを目で確認すると、効力の範囲が視覚的に理解できます。この作業を数曲分やると、囲みを書かなくても小節線で切り替える感覚が身につきます。シャープとフラットの関係そのものが曖昧な場合は、半音の仕組みから確認しておくと定着が早くなります。

強弱と速度は、記号というより「言葉」で書かれている

強弱記号は8段階でできている

強弱を示す記号は、イタリア語の頭文字を並べたものです。弱い側から順に、ppp・pp・p・mp、強い側にmf・f・ff・fffと並びます。pはpiano(弱く)、fはforte(強く)、mはmezzo(中くらいの)を意味し、同じ文字を重ねるほど度合いが増します。mpはmezzo piano(やや弱く)、mfはmezzo forte(やや強く)です。

この8段階は、絶対的な音量の目盛りではありません。pppとfffは両端を示すもので、実際にどの程度の音量になるかは楽器・曲・会場によって変わります。記号が示しているのは相対的な関係であり、「同じ曲の中で、ここはあそこより弱い」という位置づけです。

したがって練習では、1つの記号の音量を作り込むより、記号が変わる場所を先に洗い出すほうが効果的です。楽譜の強弱記号だけを追って並べ、どこからどこへ移るのかを線で結んでみると、曲全体の音量設計が1枚で見えます。そのうえで、いちばん弱い箇所といちばん強い箇所を決め、その間に他の記号を配置すると、段差が破綻しません。

📊 強弱記号8段階の一覧
記号 読み方(イタリア語) 意味
ppp pianississimo pp より弱く(いちばん弱い段)
pp pianissimo きわめて弱く
p piano 弱く
mp mezzo piano やや弱く
mf mezzo forte やや強く
f forte 強く
ff fortissimo f より強く
fff fortississimo ff より強く(いちばん強い段)

cresc.とdim.、そしてsubitoとpoco a poco

強弱には、点ではなく線で指示する記号もあります。crescendo(cresc.)は次第に強く、decrescendo(decresc.)またはdiminuendo(dim.)は次第に弱くという意味です。松葉形の記号で書かれることもありますが、意味は同じです。これらは「どこからどこまで」変化するかが命なので、記号の始まりと終わりの位置を先に確認する必要があります。

そこに変化の仕方を指定する語が付きます。subitoは「直ちに」で、subito pなら直ちに弱く、subito fなら直ちに強くという指示です。poco a pocoは「少しずつ、次第に」で、poco a poco cresc.なら少しずつ次第に強くなります。同じcrescでも、poco a pocoが付いていれば数小節から数十小節かけて持ち上げることになります。

独学でありがちなのが、cresc.の書き出しからいきなり音量を上げてしまうことです。上げきってしまうと、終点で行き場がなくなり、記号の意味がなくなります。変化の終点を先に決めて、そこから逆算して出発点の音量を下げておくと、指示どおりの曲線が描けます。subitoが付いている箇所は逆に、直前まで変化させずに保つことが必要です。

速度標語は8語を押さえれば大半の曲が読める

曲の先頭に書かれる速度標語も、もとはイタリア語の形容詞です。遅い側から、Largo(ゆるやかに/幅のある、広い、ゆったりした)、Adagio(ゆるやかに/ゆっくりと、静かに)、Lento(おそく/遅い、のろい、ゆるんだ)、Andante(歩くような速さで/適度にゆるやかな、平凡な)、Moderato(中くらいの速さで/ほどよい、節度のある)と並びます。

速い側は、Allegro(速く/陽気な、快活な)、Vivace(活発に/元気のよい、快活な)、Presto(きわめて速く、急速に/すぐに、急いで)です。かっこ内の語義を見るとわかるとおり、これらの語はもともと速度そのものより曲の性格を表す言葉でした。Allegroが「陽気な」、Vivaceが「元気のよい」という意味であることを知っていると、単に速く弾く以上の情報が読み取れます。

そこに付加語が加わります。度合いを強めるのがMolto(非常に)、Assai(充分に)、possibile(できる限り)、語尾の~issimo(最も)です。弱めるのがpoco(少し)、non troppo(あまり~でなく)、語尾の~ino/~etto(やや)です。Allegro non troppoなら「速く、ただし速すぎずに」、Allegrettoなら「やや速く」となり、基本語8つと付加語の組み合わせで細かい指定ができる仕組みになっています。

実は、速度標語は正確なテンポを示していない

意外と知られていないのが、速度標語が数値としてのテンポを定めていないという点です。洗足学園音楽大学の解説は「速度標語はメトロノーム記号のように正確なテンポを示していません」とはっきり書いています。Andanteという指示から一意の数値が決まるわけではなく、作曲家・時代・曲種によって実際のテンポには幅があります。

これは欠陥ではなく、設計です。速度標語の原義が性格を表す形容詞だったことを思い出すと、指示されているのは「その曲がどういう気分で動くか」であり、数値はその結果にすぎません。同じAllegroでも、軽い舞曲と重厚な行進曲では適切な速さが変わります。楽譜にメトロノーム記号が併記されている場合、それは校訂者や作曲者が数値での目安を追加で示しているということです。

練習上の意味も大きく変わります。「Andanteは決まった数値で弾かなければならない」と考えると、弾けないテンポに固執することになります。実際には、その曲の音型が破綻せず、指示された性格が出る速さを自分で探すのが本筋です。ただし発表会や試験で他の演奏と合わせる場合は、譜面のメトロノーム記号や伴奏との取り決めが優先されます。

演奏法・装飾・反復|残る3グループの記号を整理する

アーティキュレーション記号は、音と音のつなぎ方を指定する

音の長さと高さが決まった後で、「どうつなぐか」「どう切るか」を指定するのがアーティキュレーション記号です。スラーは音と音を切れ目なく「なめらかに」奏することを示します。スタッカートは音を短く切って演奏することを示し、長さの基準は1/2程度です。さらに鋭く切るスタッカティッシモは、長さの基準が1/4程度とされています。

ほかに、記号の付された音がその前後の音より強く奏されることを示すアクセント、音を十分に保って奏することを示すテヌート、音符上では音を伸ばし休止部では休止を示すフェルマータがあります。フェルマータは長さを演奏者に委ねる記号なので、9種類の音符の一覧とは別の次元で長さを変える点が特徴です。

実務で役立つのは、記号が重なったときの読み方です。スラーとスタッカートが同時に付いた形、スタッカートとテヌートが同時に付いた形は、どちらもmezzo staccato(約3/4の長さで奏する)を示します。スラーとテヌートの組み合わせは、弦楽器奏法のlouré(ルレ)を示す場合があります。テヌートとアクセントが重なれば、音を保ちつつアクセントを付けるという指示です。単独の記号だけを覚えていると重なった形で手が止まるので、組み合わせも表で押さえておくと安心です。

装飾音は4種類|前に付くか後ろに付くかで役割が変わる

小さな音符で書かれる装飾音には4種類あります。長前打音(Appoggiatura)は小さな音符で主要音の前に配置され、拍頭で演奏されて主要音の音価を短縮します。短前打音(Acciaccatura)は小さな音符にスラッシュが付いた形で、装飾音を短く奏して主要音にアクセントを与えます。複前打音は2つ以上の装飾音符が並ぶ形で、短前打音と同様に演奏されます。

4つめが後打音です。主要音の後に配置された小さな音符で、長く延ばされた主要音の後に付き、主にトリルの締めくくりに使われます。前に付く3種類が「主要音に入る準備」であるのに対し、後打音は「主要音から抜ける処理」だと考えると役割の違いがはっきりします。

譜読みで迷いやすいのは、長前打音と短前打音の区別です。スラッシュの有無で見分けますが、演奏上の違いは拍の使い方に出ます。長前打音は拍頭に置かれて主要音の長さを削るので、主要音の入りが遅れます。短前打音は素早く通過して主要音を立たせます。どちらも「拍のどこに主要音が来るか」を先に決めてから指を動かすと、リズムが崩れません。

トリル・ターン・モルデント・プラルトリラーの違い

記号だけで装飾を指示するグループもあります。tr記号で表記されるトリルは、主要音と2度上の音(装飾音)を適当な回数素早く反復する奏法です。ターンは主要音と、その上下2度音を素早く往復します。音符の上に配置される場合と、音符と音符の間に配置される場合があり、配置によって演奏のタイミングが変わります。向きが反転した逆ターンもあり、バロック時代にも使用されています。

モルデントは主要音と2度下の音を素早く往復し、プラルトリラーは主要音と2度上の音を素早く往復します。上か下かの違いで別の記号になっているので、記号の形と「上下どちらへ動くか」をセットで覚えるのが近道です。さらに、ターン+トリル、逆ターン+トリル、ターン+トリル+モルデントのように複合された装飾記号もあります。

ここで注意したいのが、トリルの開始音は時代によって解釈が異なるという点です。バロックと初期古典派では上の音から始まるのに対し、古典派以降は下(主要音)から始まるのが標準とされています。つまり同じtr記号でも、バッハの曲とロマン派の曲では弾き出す音が変わる可能性があります。出版譜の校訂者による注釈や解説が付いている版を選ぶと、この判断に迷いません。

反復記号は、楽譜を短くするための道案内

最後のグループが反復記号です。反復記号は反復の開始位置と反復位置で構成され、反復位置から開始位置に戻って演奏します。開始位置が示されていない場合は曲頭から演奏し、反復回数は1回のみです。フレーズの終わりだけ反復内容が異なる場合は、1番括弧・2番括弧を使って異なる結尾を表記します。

より大きな移動を指示するのが、ダ・カーポ(Da Capo/D.C.)とダル・セーニョ(Dal Segno/D.S.)です。D.C.は曲の始まりに戻り、Fine(フィーネ)で終了します。D.S.はSegno記号の位置まで戻ります。さらにD.S.やD.C.の後、コーダ記号から次のコーダ記号へ進むのがCoda(コーダ)です。ほかに、2回反復を示すbis、3回反復を示すterもあります。

読み方のコツは、記号を見つけた順に楽譜へ番号を書き込んでいくことです。演奏する順番に小節の先頭へ①②③と振っていくと、迷子になりません。読者タイプ別に言えば、独学で譜読み中の人はこの番号振りを最初の1回だけ必ずやること、子どもの練習を見ている保護者は「戻る場所」を指差しで確認すること、ブランクからの再開組はD.S.とCodaの組み合わせだけ先に復習しておくと、昔の楽譜がそのまま使えます。

Q 音符や記号は、全部まとめて覚えないといけませんか?
A 必要ありません。記号は「長さ(音符・休符・拍子)」「高さ(五線・音部記号・変化記号・調号)」「強さ(強弱記号)」「速さ(速度標語)」「つなぎ方(アーティキュレーション)」「装飾」「進行(反復記号)」の7グループに分かれます。弾こうとしている曲に出てくる記号がどのグループの指示かを判定し、そのグループの中だけを確認すれば十分です。

反復記号でどこへ戻るかが毎回わからなくなるという場合は、記号ごとの動きを個別に整理した記事も確認してみてください。

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まとめ|音符一覧は「半分の規則」と7グループで読み切れる

🎹 この記事の結論

音符は9種類、休符も9種類で、全音符を半分に割り続けた結果にすぎません。記号は7グループに分けて、必要な曲の分だけ確認しましょう。

✅ 要点チェック
  • ✔ 音符9種:二全音符から百二十八分音符まで
  • ✔ 休符9種:同じ名前・同じ長さで1対1に対応
  • ✔ 長さの判定:符頭の色・符幹・旗の本数の順で見る
  • ✔ 調号:最大7つ、並ぶ順番は固定されている
  • ✔ 速度標語:正確なテンポを示す数値ではない

最初の一歩としておすすめなのは、いま練習している曲の1ページ目だけを使って、出てくる記号を7グループに仕分けてみることです。長さの記号、高さの記号、強さ、速さ、つなぎ方、装飾、進行。おそらく1ページに登場する記号は10種類前後で、そのうち知らないものは2つか3つしかないはずです。一覧表を頭から暗記するより、目の前の楽譜で「知らない2つ」を潰すほうが、譜読みは確実に速くなります。

本記事の音価・定義・記号の意味は、洗足学園音楽大学が公開する楽典解説を出典としています。音符の種類と音価、拍子の種類、調号、強弱記号、装飾記号の各ページで原文を確認できます。

なお、装飾音の奏法やトリルの開始音は時代・校訂版によって解釈が分かれます。演奏の判断に関わる部分は、お使いの楽譜の校訂者注記と出版社の公式情報をあわせてご確認ください。

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ピアノと音楽の教科書編集部です。テーマに関する基礎知識や選び方を、公式情報など確認できる情報をもとに編集しています。掲載後も定期的に見直し、変更があれば更新します。

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